先取の精神と伝統が交差する学舎|龍谷大学大宮学舎 - 擬洋の国へ 〜fall in〜

<龍谷大学大宮学舎ってどんなところ?>

京都市下京区、西本願寺の隣に位置する龍谷大学大宮学舎は1879(明治12)年に完成しました。


龍谷大学の3つあるキャンパスのうち、最も古いキャンパスで、明治・大正・昭和・平成・令和と5つの時代を跨ぐ学舎となります。


また、大宮学舎の本館・北黌・南黌・旧守衛所・正門・渡り廊下は当初の貴重な西洋建築として、国の重要文化財に指定されています。


龍谷大学大宮学舎の旧守衛所の前には、大宮学舎の重要文化財の一覧が記載された看板があります。



<文学部教務課の恩田さんにお話を伺いました>

Q 他の大学やキャンパスにはない、大宮学舎ならではの魅力を教えてください。


A ずばり、大学内に重要文化財があることです。近代建築の遺産として、大宮学舎というのは、格式高く、その中で勉強ができるというのはポイントかなと思います。

また大宮学舎というのは龍谷大学の発祥であって、龍谷大学の気質を表しているのかなと思います。



Q 京都という和風の建築物が建て並ぶ場所でなぜ、大宮学舎は擬洋風建築で建てられたのですか?


A 洋風の建築を取り入れたのは、西洋の欧化政策の中に大宮学舎が出来たわけでもありますが、実は浄土真宗本願寺派、西本願寺のスタンスでもあります。


1つのセオリーがあって、学林を母体として大教校をつくるとなった時、近代教育のシステムをいち早く導入したのは実は西本願寺です。


赤松連城や島地黙雷が当時海外へ視察を行ったことを元に、やはり近代教育をいち早く入れるべきだというようなところで作られたのが大教校(大宮学舎)であり、ヨーロッパの考え方を早い段階から取り入れているのが大きなポイントです。


それ故に、近代的な建築をデザインしたのではないかなと思いますね。それは文明開化の時流だけでなくて西本願寺の当時の流れ(哲学)が反映されているのではないかなと思います。



Q 大宮学舎の老朽化対策(メンテナンス)はどのようにされているのですか?


A これが非常に大変なところでして、1992年から1997年に解体修理を行いました。


本館はジャッキアップして移動させて土台からしっかり修理して、もう一度、今ある場所に戻しました。


南黌は元々寄宿舎として使われており、その後、教室へとなったのですが、1992年からの大修理前までは南黌・北黌も共に老朽化が激しかったです。そのため、5年間に渡る大修理によって、内装も全面的に大きく修理し、今に至ります。


ましてや国の重要文化財なので、大学の学び舎としてだけでなく、重要文化財としても維持しなければいけないので、それもあって5年に渡り大きく修理しました。


ただ重要文化財なのですごく大変な点は、本館講堂の階段の滑り止め1つ付けるにも、文化庁の許可が必要で、その点がすごく大変だというのは聞いたことがあります。



Q 本学を利用する学生以外で、大宮学舎を見学しに来られる観光客の方などはいらっしゃいますか?


A いらっしゃいます。中に入ることはできないけど、外観を見てもらうことは可能です。

中高生から年配の方まで、幅広い方が来られますし、海外の観光客の方も来られる時もあります。


最近だと、NHKのドラマ「いだてん」でも大宮学舎がロケ地として使われていたこともあって、本学の学生以外にも多くの人が大宮学舎に訪れます。



Q 大宮学舎に来た時に是非見るべき場所(スポット)を教えてください。


A はっきり言うと全体です。是非とも大宮学舎全体を見てほしいなと思います。全体を見てもらって、大宮の雰囲気を掴んで欲しいです。


教務課や守衛所で大宮学舎のパンフレットが設置されていますので、そこに載っている箇所は全て見て欲しいなと思います。



↑教務課や守衛所に設置されている大宮学舎のパンフレット


このパンフレットの中に大宮学舎の各スポットの見所が掲載されています。


大宮学舎の本館の裏側には窓がありません。

「これはなぜだと思う?」と逆に質問を恩田さんから頂きました。


理由はお寺の本堂の裏側に窓が無いのと同じで、大宮学舎の本館には寺院建築の考えを受け継いでいるからとのことです。




<取材を終えて>

普段、大宮学舎に通ってはいましたが、大宮学舎の建物の歴史やその背景にそこまで深い意味があるということに驚きました。


龍谷大学の3つあるキャンパスの中で最も古く、かつ龍谷大学のルーツでもある大宮学舎は明治時代に今の場所に建てられました。


当時の欧化政策の影響だけで西洋建築になったのではなく、寺院建築の考えも織り込まれている。その点で、他の擬洋風建築とは少し違った造りをしている。そんな大宮学舎ならではの特徴があることも新たな発見でした。






龍谷大学大宮学舎 アクセス

〒600-8268 京都市下京区七条通大宮東入大工町125番地の1

JR東海道本線・近鉄京都線・京都市営地下鉄烏丸線 「京都」駅下車、北西へ徒歩約10分(市バス約3分)

JR山陰本線(嵯峨野線)「梅小路京都西」駅下車、北東へ徒歩約10分

社会とつながる文学部 Ryukoku Letters +Social

龍谷大学文学部での「学び」を活かし、大学生たちが京都市下京区の「魅力」を独自のテーマで切り取ったオリジナルマップの制作に取り組んでいます。

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